にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『合理的にあり得ない』-新たな痛快ヒロインの誕生!

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#合理的にあり得ない

#上水流涼子の解明

#柚月裕子

#あらすじ

詐欺に騙されている身内を秘密裏に助けてほしいなど、表立って頼めない悩みを解決する上水流(かみづる)エージェンシー。

代表は頭脳明晰で美貌の持ち主、上水流涼子。助手を務めるのはIQ140の天才、貴山伸彦。

料金は高いが仕事はきっちりこなす。

こんなに優秀な人材がなぜこんな仕事を…?


霊能力者を語る詐欺師や、野球賭博にはめて骨までしゃぶるゲス野郎を、頭脳戦でバッタバッタとなぎ倒す!

オススメ!痛快エンタメ小説!


#感想

短編が連なって、1つの話になるというタイプの小説。


柚月さんというと、ゴリゴリの任侠ハードボイルド『孤狼の血』のイメージだったので、気合を入れて読み始めましたが、上水流涼子が主人公の本作は全くテイストが違いました。

読み易い上に水戸黄門的な安心感があります。軽やかだけどストーリーは練り込まれていて、もう1章あと1章読んだら寝よう、とすっかり寝不足です笑


この一冊だけなんてあり得ない!

是非シリーズ化していただきたいものです。

お願いします。

 

『かがみの孤城』-どんでん返しの女王が描くファンタジー小説

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#かがみの孤城

#辻村深月

#あらすじ

ある出来事から中学校へ行けなくなってしまった"こころ"。

ある日、自室の姿見が虹色に光り、かがみの向こうの城へと招待される。

城へと招かれたのは、こころを含め同年代の少年少女が全部で7人。

彼らの前に現れた、狼のお面を被った女の子、自称"オオカミさま"は、願いの鍵と部屋を見つけた者には何でも1つ願いが叶えられると言う。


ドンデン返しの女王、辻村深月が描く、不思議で優しいファンタジー


#感想

何度も泣きそうになった。

ラストは読めていた。微かな違和感は、ミステリ好きのアンテナにビビッと受信されて脳内にある答えを映し出していたから。

でも、とても巧みな紡ぎ方にページを繰る手は止まらない。こんなお話を作り出すなんて、とても優しくて素敵な人だと思った。


子ども達は皆勝手だけど、特に主人公の"こころ"にはイライラさせられた。

言いたいことも思ってることも、何一つ言わない。態度に出さない。

分かってくれない、どうせ理解されないからと決めつけておいて、大人や世の中は理不尽だという顔をする。


言えば良いじゃないか!

言わなきゃ分かんないんだよ!

助けたいと思ってるかもしれないじゃない!


そこでハッとする。

私もだ。大人も子どもも関係ない。

傷つくことを怖がって、助けて欲しいのに自分からは手を伸ばさず、なのに分かってくれないと拗ねている。

まったく、理不尽なのはどっちなのかと呆れてしまう。


学校に行けなかったり、一人で欝々としている子が、つらいそのタイミングでこの本に出会えたら、きっと救われる。

そして大人も、素直になってみようと顔を上げられるお話だ。

 

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『異邦の騎士』-騎士は急ぐ、大切な人を守る為に

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#異邦の騎士

#島田荘司

#あらすじ

目が覚めた時、俺は仕事も住んでいる場所も自分の名前ですらもすっかり思い出せないでいた!


記憶を喪失し絶望の中にいる男を救ってくれたのは、愛らしくて無邪気な一人の女性だった。しかし、平穏な幸せを手に入れる為に男が記憶の片鱗と向き合った時、驚愕の過去が明かされ、男は更なる絶望へ追いやられる…

果たして記憶は戻るのか、そして新たな幸せを守ることは出来るのか?!


#感想

御手洗潔シリーズ第4作目。

御手洗潔の作品はまだまだ続くけど、少なくともここまでは読んで欲しいし、一つの区切りのように思います。

シリーズとしては時系列が前後するんだけど、この『異邦の騎士』まで読んで初めて、御手洗潔シリーズを読んだ、という気持ちになりました。


御手洗潔シリーズ1作目はコチラ(o’ω’o)ノ

(以降はちょっとネタバレ

 未読で今後読むかもな人は引き返してね)

 

 


紛れもないミステリなんですが、ミステリというより人間ドラマを見ているような。ミステリにそういった要素は不可欠なんですけどね。今回は特に特殊。島田先生も仰られていますが、1作目に発表する話ではない、それが正解に思われます。


御手洗潔シリーズは『占星術殺人事件』のようなセンセーショナルな作品が始めに来て、それからいくつもあった上でのこの作品だからより面白く読める、というのは確かにありました。

特に前作が短編集だっただけど、完全にやられました。チラチラと関連づけされるエピソード、シリーズものの醍醐味ですね。

「懐かしいだろ?」と言ってジャズの演奏後に握手してたエピソードが気持ち良く思い出されました。

 

奇人変人の御手洗さんですが、気に入った人は本当に大事にする、素敵。"彼"には、是非とも幸せになってもらいたいですね。

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『ダレン・シャンⅡ』-血塗られた苦難への扉が開く…

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#ダレン・シャン

#若きバンパイア

(#ダレンシャンⅡ)

#DarrenShan

#あらすじ

ダレン・シャン1作目についてはコチラ(* 'ω')ノ

『ダレン・シャン』-ハリーポッターが陽なら、これは陰のファンタジー作品! - にゃんこくらげの読書日記

 

クレプスリーによって半バンパイアになってしまったダレンだが、人間であることにこだわり、ガンとして人の血を飲もうとはしなかった。

もう一つダレンを苦しめたのは、友だちが出来ないこと。見かねたクレプスリーは、ダレンにサーカス団"シルク・ド・フリーク"へ入ることを提案する。ダレンはここで、蛇少年のエブラと人間の男の子であるサムという友だちを得ることになる。

こうして充実した日々を送るダレンだが、人間の血を飲まないことで体力はみるみる落ちていき、やがては死すらも意識するように…


半バンパイアである少年の苦悩と、過酷な運命の第2巻!


#感想

子どもの頃に読んだ時には気付けなかった、クレプスリーの優しさ。小説の中に限ったことでは無く、大人が良かれと思って子どもを導こうとすることは当たり前にある。実際成長してから、その道が"正解"であることに気づくことも少なくない。


でも、子どもも意固地になっているから反抗するのではなくて、理由があって大人からの導きに頷けない時があるんだよね。それも、自分でも理由がよく分からなかったり、口では上手く説明出来なかったりするから、余計に分かってもらえなくてイライラして、衝突して悲しい目に合う。

それに、いつも理由がある訳じゃなくて、ただの大人への反発という場合も多々あるから見分けがつかなくて余計に厄介!


ダレン・シャンを読んでいるとそういうシーンをよく目にする。「あぁっ、そこは大人の言うことを聞いてれば…(´;ω;`)」とヤキモキするし、人によってはイライラすると思う。でもそれが幼少期というものだし、ていうことはダレンはとてもリアルな少年の姿だということになる。

とても衝撃的な回で辛い思いをするけど、ダレンはまだ小さい。運命を乗り越えて幸せになる力をつけられることを願うばかり。

 

『連続殺人鬼カエル男ふたたび』-あのパニックミステリに衝撃の続編!

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#連続殺人鬼カエル男ふたたび

#中山七里

#あらすじ

『連続殺人鬼カエル男』の続編です。

▼前作未読の方には、続編のあらすじもネタバレになるので、こちらからお先にどうぞ(o’∀’o)▼

 

カエル男による恐慌の日々を乗り越えた古手川は、あまりにも大きなものを喪失してしまった。

あれから1年弱。

カエル男事件の渦中の人物、精神科医御前崎教授の自宅が爆発、現場は見るも無残な状態と聞きつけた古手川刑事と上司の渡瀬は、過去のカエル男事件の情報提供という名目で現場へ向かう。

そこで2人は目にすることになる。

「きょうばくちくをかってきたよ。」

あのおぞましい事件が再び幕を開けるのを・・・

 

#感想

衝撃の前作から、まさかの続編登場!

カエル男の正体、その犯行理由から続編なんてありえないと思っていました。書店で見かけた時には目の錯覚かと。


それほど前作が完璧だったんです!

もしかしてスピンオフ?それとも模倣犯

あまりにも前作の完成度が高いと、続編ってちょっと残念な場合もありますよね。

ふむむ、そこんとこどうなん?と古手川並に疑いながら読み始め・・・瞠目!


エッ・・・そこから始まるの?!

犯人が分かっている所からの展開は不思議な感じもしましたが、最後まで読んで納得。

さすが中山七里・・・

今回も、精神疾患者の犯罪という難解なテーマを扱い、事件の謎と共に“お前の考えはどうなんだ”と読者に迫ってきます。

 

なぜ完璧とも思える前作から、続編を書いたのか。

私は、人気があったから、とは思えません。。。

この国の制度がこうある限り、憎しみの連鎖は簡単に断ち切れないのだ、と言われている気がしました。

『噂』-最後まで読んで、思わずひっくり返った!

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#噂

#荻原浩

#あらすじ

女子高生達の間に広がった怪談じみた都市伝説「レインマン」。

実際に都市伝説を模した殺人が起こったことで、所轄の刑事小暮と捜査一課の名島はコンビを組んで噂の出どころを探る。

始めは単なる遊びと思われた噂だが、実は商業目的で意図的に拡散されたものだと分かる。

口コミを操作してヒット商品を生み出した代償と、その裏に隠された衝撃の事実とは?!

 

#感想

戦慄し、読み終わった後はしばらく放心。

 

たっぷりページ量がありながら、ストーリーはテンポ良く、グイグイ引き込まれて気が付いたら読み切っていました。

とても面白い!

カリスマの描き方、その仮面がはがれる様、荻原さんはとても上手く“人”というものを表現されます。


全体的にほんのりホラー色が漂う中、おじさん刑事の小暮が高校生の娘にヒントをもらいながら、ぎこちなく若者とコミュニケーションを取るシーンはほっこりしてとても好きでした。

緩急がしっかりついていて、飽きずに夢中で最後まで読み切れます。

だからこそ、このまま終結と思われた最後に隠された罠には、まんまとでした。油断禁物(ネタバレになるといけないので語れないのがもどかしい!)。

 

あー、ゾッとした。無知って怖い。

でも面白いのでオススメです。

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『告白』-罪が告白された時、見えた真相に驚愕

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#告白

#湊かなえ

#あらすじ

市立S中学校1年B組の担任、森口悠子は生徒達に告白する。自身がまもなく教師を辞めること、数ヶ月前に亡くなった愛娘の愛美はここの生徒に殺されたと分かったこと、犯人の少年A・Bにはすでに復讐を遂行したことを。

そうして森口が去り、2年生に進級した生徒達と周囲の大人から、少年A・Bや事件のその後が語られる。

なぜ事件は起きたのか、奪うことの末路とは…


#感想

センセーショナルでインパクトの強い作品でした。

事件の原因となった人々の身勝手さ、罪を弾劾する人間のもはや残酷とも言える様が、とにかく徹底的に描かれています。

そして語り手が変わることで、人への印象が変わる様子はとても巧みです。


それに加えて教師が生徒に復讐を行うという設定を使ったのが、個人的に秀逸。

友人でも上司部下でもご近所さんでもママ友でもなく、教師から生徒。特に第一話の主人公である森口悠子は、普段から生徒を馬鹿にもしなければ過大評価もしない教師でした。子どもの幼稚性を承知し、本来なら彼らが間違いを犯した際には叱り導く立場の人間が、最も心をえぐる手法を選んで敢行した復讐。微に入り細をうがって復讐する様子を描いてはいませんが、真っ黒な心模様が滲み出ておりそれが読み手まで侵食するような作品でした。

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