にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『今朝の春 みをつくし料理帖』-動き出した澪の運命

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#今朝の春

#みをつくし料理帖

#髙田郁

#あらすじ

食あたりの濡れ衣を着させられた料理屋「つる家」が、起死回生の一手として打ち出した、毎月3の付く日に酒と肴を出す三方よしの日」

これが大好評で、女料理人の澪と、三方よしの日限定で手伝いに来てくれる、遊郭「翁屋」の料理人又次は大忙しである。

忙しいことにしみじみと幸せを噛みしめるつる屋の面々。

 

そんな折、つる屋常連の偏屈戯作者、清右衛門が新作を書くという。

題材は、翁屋伝説の遊女あさひ太夫についてとのことで、実はあさひ太夫の幼馴染である澪は気が気でない。

あさひ太夫に危険が及ぶなら見境を無くしそうな又次に知られてはならないし、でも他でもない自身が幼馴染の身に何があったのか知りたくてたまらない…

 

他、料理番付“大関”位の「登龍楼」と「つる屋」が料理勝負?!など波乱尽くしの全4話。

 

#感想

今回もめっぽう面白かったです!

 

これまで澪の作り出す絶品料理に、“酒、酒をくれ~~~”と悶えていた(でも出さない澪ちゃん♡)お客に朗報。
吞めなくても絶品料理を作れることに変わりはない澪ちゃんだけど、その道の玄人、又次が助っ人に入ってくれれば鬼に金棒だわ!

 

ほんと前作(食あたり事件)が辛過ぎたので、つる屋の皆には活き活きと本来の実力を発揮出来る環境で働いてもらいたい。

 

それにしても口の悪い偏屈者、清右衛門先生がここまで登場するようになるとは思わなかったな~

どこにでもいるのね、こういうひねくれ曲がった人って。

そんな清右衛門先生が仕事にかかる様を初めて見たのだけど、基本人に嫌われようが構わない人は強いな。

特に芸術関係の人は、それくらいでないと自分のとことん満足いくものを出せないのかもしれない。

 

ラスト、そんな清右衛門先生が放った言葉には、澪ちゃん共々思わず息を飲みました

薄々分かってはいたけど、そんなに悪い人じゃないんだよな、この戯作者先生。

 

それにしてもこの巻は大きい。物語の今後を左右する、大きな布石の予感。

 

みをつくし料理帖 一巻

みをつくし料理帖 ニ巻

みをつくし料理帖 三巻

 

『おはなしして子ちゃん』-ファンタジーでダーク。不思議に計算された世界。

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#おはなしして子ちゃん

#藤野可織

#あらすじ

『おはなしして子ちゃん』

学校の理科室に閉じ込められてしまった私。

いじめていた子の仕返しだろう。

手入れされていないホルマリン漬けの様々な物がウヨウヨとする中で、私に「お話をして」と話しかけてきたのは…

 

アイデンティティ

「鮭です」「猿です」「いいえ、人魚です」とそれは言う。

人魚を製造する工場で、人魚作りの腕が一向に上がらない助六の作った"それ"は、何度教えても人魚になりきれない。

同じく鮭と猿で作られた仲間たちは皆、人魚としての自覚を持ち始めているのに。

やがて"それ"らが出荷される日がやってくる。

 

『ホームパーティーはこれから』

今日は私にとって、とても重要な日。夫が会社の人たちを家に連れてくるのだ。

良い奥さんだと思われたい、こんな人と友達になりたいと、この人にはその価値があると思われたい。

だから私は朝から、部屋の掃除に料理に奮闘していた。なのに、気がついたらインターホンが鳴っていて。

まだ途中なのに、まだノーメイクでボサボサ頭なのに、どんどんどんどん人が入ってきて止まらない。

 

#感想

10作の短編集。

全編通して、共通する空気感があります。

なんていうのかな、不気味だけど怪奇とかホラーというほどではない。なんか気持ち悪いのに、可愛い?

不思議!不思議小説!

 

絶対に、絶対に無い奇妙な世界。だけど奇妙にリアルで、始めに抱いた違和感はすぐに消えて受け入れてしまう。

寝ている時に見る夢みたいな、変に違いないのに、そこにいると何故とか考えずに当たり前に受け入れているあの感じ。

読んでいてとても、星新一氏を彷彿としました。

 

そして、タイトルの付け方が秀逸!(むしろ表題の『おはなしして子ちゃん』が一番シンプルかも)

どうしてこのタイトルなのかしら、と思いながら読み進めるけど、終わる頃にはそれ以外には考えられないほどしっくりきています。

『今日の心霊』とか、"今日のコーデ"とかけてるんだろうな。センスだわぁ!

 

『おはなしして子ちゃん』から始まって、その奇妙さっぷりは特急列車のようにどんどん加速します。

3作目『アイデンティティ』を読んだ時には、そのヘンテコな世界でどことなくまぬけな登場人(?)物達が右往左往している、ある種微笑ましいような話なのに、その発想力には度肝を抜かれました。

どんな時に思いつくんだよ、こんなヘンテコな話!そして、なんでこんな綺麗にまとめられるの?!

総じて面白かったんですけど‼︎

 

藤野さんのショートショート(あえてそう呼ぶ)は、バカにしてるでしょって言いたくなるちょけた残酷さと、自由な発想がクセになりそうです。

 

『想い雲 みをつくし料理帖』-試練試練の3作目!もう勘弁したげて!!

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#想い雲

#みをつくし料理帖

#髙田郁

#あらすじ

大坂の名料理店「天満一兆庵」が火事で焼けた後、芳と澪は江戸へ支店を作りにいった若旦那 佐兵衛をずっと探していた。

つる家での商い中、偶然二人は元 天満一兆庵の料理人で、佐兵衛と一緒に江戸へ行った富三と再会する。しかし富三から聞かされた佐兵衛の行方は思わず耳を覆いたくなる悲惨な話だった。

 

江戸で複数店、女料理人を打ち出した店が現れた。女料理人が増えたことを素直に喜ぶ澪だったが、どうやら澪達のつる家を真似た紛い物らしい。

真似は真似、と堂々としていたつる家の面々だったが、やがて偽物が起こしたとんでもない事件が、本物のつる家に深刻なダメージを与えてしまう…!

 

人気シリーズの3作目。

 

#感想

▼過去作はこちら

 

可愛い名前に反して毎回試練があるのでお馴染みの『みをつくし料理帖』ですが、今回は特に辛かった(;ω;)

料理屋にとって致命的にもなる食の安全。

それは今(現代)も昔(江戸時代)も変わりません。

その汚名を、他の、しかも自身の店を猿真似した店によって着せられるなんて…!

 

毎日ガラガラの店内でも、今日はお客が入るかもと信じて仕入れを止めない種市が何ともいじらしい(初老のお爺さんに使う言葉じゃないかもだけど)。だけど無情にも使われずに萎れていく食材を見て唇を噛む澪…

もう、ほんと勘弁してつかぁさい(;ω;)

 

昔は自身で発信する方法が無いからなぁ。

誤解も誤解と伝わらない、その手段が無い。

その分現代には悪意あるフェイクニュースというのがあって、それはそれで誰もが嘘の情報を流せるようになってしまっているので、どっちが良いとは安易に言えないけど。

 

辛い時に同じ気持ちでいてくれる人がいるのは慰められるけど、辛さがなくなる訳ではないし、場合によっては一緒に落ちていってしまう。

 

今回珍しく、謎のお侍小松原さまが「下がり眉(澪ちゃんのこと)を口説きたいのだ」なんて軽口を叩いたので"おっ"と思ってしまった。

安易に助けてはくれないんだけどね、ピンチの時にそれとなく道標になるようなことを呟くんだ、この男。

 

さて、今回澪の真っ暗な道筋に光を差し込んでくれるのはお医者の源斉さまか、謎の侍小松原さまか?!

でも一番のオットコマエはあさひ太夫なんだけどね(❛ᴗ❛๑)⁾⁾ マチガイナイ

『ファミリーツリー』-これは人生の、特に青春の追体験

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#ファミリーツリー

#小川糸

#あらすじ

従妹のリリーは小さな頃からよく「空の国」へ飛び立つ女の子だった。

空の国に行くとなかなか戻らないリリーを、僕ことリュウはじっと待ってきた。

 

長野県穂高のひいおばあちゃん菊さんが切り盛りする恋路旅館で、夏休みの間だけ、リュウ・蔦子姉弟と従姉のリリーは再会する。

3人は子どもだけのドリームルームで寝起きし、肝試しに出かけ、やがてかけがえのない親友となる子犬「海」と出会う。

 

気が強くてエキゾチックな魅力に大人でも目を引かれるリリー。

成長したリリーと僕は、当然のように付き合うようになるが、親の反対を受けて一時離れることに。

焦がれる思いでなんとか上京した僕はリリーと再会するが…

 

出会いと経験を経て心を育んだ幼少期から、大切な友の喪失、思春期の苛立ち、恋人同士のすれ違い、迷い、焦燥、様々な出来事を通してゆっくり成長していく“僕”と、それを取り巻く沢山の人々の物語。

 

#感想

小川糸さんの作品には、沢山の傷ついた人が登場します。

私はそうした中でも、ゆっくり自身の傷を癒しながら社会の中で何かやることを見つけて、コツコツと静かにひたむきに取り組む人の話が好きです。

声を送って応援したいような、陰から見守っていたいような、手を取って微笑んであげたいような、逆に励まされるような。

そんな優しくて切ない、甘い気持ちになる。

 

ただ、今回の作品は今までの小川作品とはちょっと毛色が違うようにも。

 

主人公となったリュウ君は、幼少期に心から大切な親友を亡くし、それ以来心に空洞を抱えて生きていきます。

私も犬は大好きだし家族だと思っているので決して重い軽いを言う訳ではないのですが、リュウ君の周りの人があまりにもアップダウンの激しいヘビーな人生を送っているので、彼の人生は若干平凡なものに見えてしまう(なんせ本宅と愛人宅での旅行だの、虐待経験だの、事業失敗の末の破産だのって…)

 

ただ、リアルな人生ってどちらかというとそういうものでは?

だからこそリュウ君が主人公なのかもとも思いました。

 

上京後のリュウ君は、“普通”ながらも優しくて活き活きした少年だった頃とは別人かと思うほど、気だるく優柔不断で同じところを堂々巡りしています。

ここんとこが、他の小川作品とちょっと違う感じがする。

何も見つけられないし、見つけようともせず、夢を語るリリーに当たったりする。

そんな様子は正直イライラさせられるし、リュウ君自身もイラついている。

 

物語も停滞しているように感じさせられます。

私の好きな、やるべきことを見つけてコツコツ真摯に取り組む…ということもありません(´・ω・`)

この辺り、読んでてしんどいという感想を見かけたけど、すごく分かる。

 

リュウ君自身の気持ちも結構刺さるんだけどね。

例えば、"今日こそはケンカせず仲良く良い日を過ごそう!"と決意して恋人と会うんだけど、いつの間にか口論になって引くに引けなくなってしまう。

なんか、、、あるよね!ってかんじ。

今日こそはケンカしたくない、仲良く過ごしたいと思ってたからこそ切ない。

 

ただ、そんな日々を突然抜けた時、スカッと視界は晴れて落ち着くべきところへ落ち着いていきます。

読者はリュウ君と一緒にモヤモヤとした思春期を経験し、ある日ふと気が付いたら大人への階段を一歩上っていた、その追体験が出来るかんじ。

 

物語的に好き嫌いは分かれるだろうけど、思春期の追体験と考えればそれもあって当然かな

思春期への"想い"って、ほんと人それぞれじゃない。

『ラブカは静かに弓を持つ』-トラウマと向き合った人のドラマにはチェロのBGMがよく似合う

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#ラブカは静かに弓を持つ

#安壇美緒

#あらすじ

幼少時のトラウマから、周囲と打ち解けない橘樹(たちばないつき)は、ある日上司からチェロを習いに行くよう指示される。

曰く、全国に教室を持つミカサ音楽教室のチェロレッスンにて、ミカサがレッスンで著作権を侵害している証拠を掴んでこいとのこと。

つまり、ミカサに潜入してスパイを働けという内容だった。

 

これも仕事、とスパイを働くことには抵抗を感じない橘だが、チェロはトラウマを彷彿させた。

引き受けてしまったことに激しく後悔しながらレッスンに通う橘だが、チェロ講師の浅羽を含め徐々にチェロを通して生まれた新たな出会いや発見が、橘の世界に彩りを与え始める。

 

しかし、ミカサへの訴訟は進んでおり、橘にも本来の役割を全うすることが求められていた…

 

#感想

全日本音楽著作権連盟、通称"全著連"に勤める主人公の橘樹くんはとにかく暗い。

周りの反応から、そこそこ見栄えが良いことは伺えるし仕事も基本的には真面目にこなしている。

多分要領も悪くないはず。

それでも、彼の過去のトラウマが心のシャッターに鍵をかけさせている。

 

このトラウマだけど、

チェロに関するトラウマかー…

幼少期の発表会で大ヘマしたとか、ヘタしたら緊張のあまり大勢の前で失禁したとかかな(これも十分こじらせるのに足るトラウマだけど)なんて想像してたけど、

思っていた以上にヘビーでした。

 

もう一生誰とも関わりたくないし、関わる必要がないと考えるのも納得。

それでも、橘くんの世界に再び色を付けたのもチェロだったという。皮肉というより、音楽の偉大さと人間ならではの感受性の豊かさを感じました。

 

絵に描いたように順調な、人生のリハビリを進む橘くん。

スパイを行い、毎日に鮮やかさを与えてくれる人達を裏切り、それを自覚しながらもどこか希薄な橘くん。

 

その二面性は、淡々と描かれるにもかかわらず読者を不安定で落ち着かない気持ちにさせます。

もちろん、それに留まらないのだけど。

 

とにかく持っていき方がすごく上手かったです。

少しづつ、気づかない内に酸素が薄くなっていく感じ。

 

本作のタイトルであり、重要な意味を持つ"ラブカ"は、醜い深海魚です。

そういう意味合いではないけど、目をそらしていても少しづつ"敵対する側の証人として裁判に立つ"、という現実が迫ってくるあたりはまさに深海に沈み酸素が薄くなっていくようでした。

 

最後は、流されるのでなく橘くんが自分で選んで行動し、それによって受け入れられたり違う道を歩んだり…

とても現実的且つ希望のある終わり方で気持ちの良い後味でした。

読んで良かった!

 

『花散らしの雨 みをつくし料理帖』-新たな役者は可愛いけどどこか不穏で…

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#花散らしの雨

#みをつくし料理帖

#髙田郁

#あらすじ

付け火による焼失で、店を神田から元飯田町へ移した「つる家」は、少しづつ常連客を増やしつつあった。

新たに雇い入れた少女"ふき"もよく働いてくれる。つる家の商いは順調に見えた。

料理人である澪は、料理番付に載った「とろとろ茶碗蒸し」に代わる新しい料理を思案する。

しかし、熟考の上に生み出したはずの料理が、次々と神田の銘店「登龍楼」と被ってしまう。

 

更に、遊廓にいることの分かった澪の幼なじみ"野江"だが、大怪我を負って生死の境をさまよう事態に?!

またまた降りかかる困難に、澪はどう立ち向かうのか!

シリーズ2作目。

 

#感想

▼シリーズ1作目はこちら

 

澪ちゃんの人間としての器が大きすぎて、思わず手を合わせたくなりました(u人u)尊

 

軽く結んだ三つ葉をあしらった吸い物に、三つ葉のお浸し、三つ葉の白和え、三つ葉ご飯。そして注文を受けてから揚げる白魚と三つ葉かき揚

 

澪ちゃんが閃いた"三つ葉づくし"の膳は、驕らずただ旬の美味しいものを食べてもらいたい、目でも旬を楽しんでもらいたいという澪ちゃんの心根の優しさ、そして料理人としての気概が感じられる素晴らしい献立だと思います。

 

だからこそ、それを姑息な手段で真似ることへの嫌悪感…!

髙田先生は、読者が一番澪達と一緒になって憤慨するやり方を心得ていらっしゃる。

そして切なくさせる方法も。

 

「あほやなぁ、あんまり大人を見くびるんやないで。そない小さいことにいちいち傷ついてたら、生きていけますかいな」

ご寮さん芳の言葉は、今何かに悩んでいて、でもそれを優しさから言い出せずにいる現代の子ども達(大人も)にも届いて欲しいな、と思いました。

 

そして、今回のタイトルにもなった「花散らしの雨」

酒屋の店主が血の滲む想いで作った味醂を、なんとか売り出したいと願う奉公人留吉とのエピソード、これも外せない大切な回です。

 

味醂を味見して、思わずこれで料理をしたい!と調理場へ走る澪にはその時留吉への同情心は無く、ただ料理人としての姿がありました。

それが幼馴染野江との大切な話に発展していくんだから、やっぱり髙田先生は天才です。

天才なんだけど…その筆が秀逸過ぎて切なさが増すから二人の幸せな話も早く読みたいなぁ(´・ω・`)♡

 

『ののはな通信』-誰にでもありえたもう一つの物語

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#三浦しをん

#ののはな通信

#あらすじ

ミッション系の女子校に通う"のの"と"はな"。

頭が良く現実的でクールなののは、実は狭くて決して裕福ではない家にコンプレックスを抱いている。

一方のはなは、外交官の家に生まれ天真爛漫で明るく社交的な性格だが、優秀ではない自分の道に迷いを感じている。

 

家柄も性格も真反対な2人だが、学校で毎日会うにもかかわらず文通まで行うほどの大の親友。

しかし、ののが友情以上の想いをはなに明かしたことで、2人の関係は変わっていく。

 

不器用で密やかな恋、秘密と裏切りによって崩壊する関係、拒絶と構築、そして…

少女から大人に、大人から更に成長していく2人の関係と心を細やかに描いた超大作。

 

#感想

素晴らしい作品でした。

 

まずすごいのは、物語は全てののとはなの文通で成り立っていますが、この手紙の内容だけで、2人の関係と心の成長が全て見て取れるのです。

一章ごとに成長した、それぞれの年齢の2人に違和感が無い。成長した部分と変わらない部分が、きちんと一人の人間の中に描かれています!

改めてしをん先生は想像力の天才。

 

特に面白かったのは2人の恋愛を中心にした心模様だけでなく、人としてのものの考え方をみることが出来たこと(❛ᴗ❛๑)⁾⁾

例えば、ある時ののが語った

ドラマ『白い巨塔』で描かれたような教授夫人会がいや〜な感じなのは、そこに男性社会の地位や立場が、そのまま持ちこまれているからだという気がするの。(中略)

つまり、「陰湿でこわい」のは権力構造。臆面もなく権力をふるい、権力構造に平然と組みこまれていく人々(男女問わず)のほうではないかしら?

これにはとても共感

しかも、新たな発見がありました。

 

女の敵は女」のような、男性がその方が都合が良いから作ったような言葉同様、女性社会は「陰湿でこわい」とされる(男の嫉妬や出世争いはどうなんだよ!)のには男性からの故意な感じを受けていました。

でも、この思い込みすらも、男性への偏見だったのでは?と思い至った次第Σ(O_O)ハッ!

 

まさに"男女問わず"、問題点は別にあったんですよね。

うーん、ののちゃんの公平な考え方、好きだなぁ。

 

そして、こういう風に自分の考えを語り合える友達と、そんなことが日常茶飯事だった学生時代の、なんて尊くてきらめいて見えることよ!

 

大人が描いた"女学生"ではなく、ののとはなの言葉には、リアルな温度と色がありました。

だからこそ、思わず思い返さずにはいられないんですよね。

過去、自分が通って来た道を。

この物語の一番素晴らしい点は、誰もがこれを読みながら、自分の"あったかもしれないもう一つの物語"を振り返ってしまうところだと思います。

 

あの時、その瞬間を一生懸命に生きて、悩んで考えて、踏み出したり踏み出さないことを選んだ日々(学生時代だけに限らず)

破局か寛容か、また、復縁か終息を選ぶのか…

 

決して今に後悔している訳では無いけど、もしかしたらあったかもしれない、もう一つの人生に少しだけ想いを馳せてしまう。

きっと誰もが、少しの胸の疼きを感じる物語。

とても素晴らしかったし、個人的にこのタイミングで読めたことに感謝したくなりました。

 

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