#奇怪なサーカス
(#ダレンシャン)
#DarrenShan
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#あらすじ
「これから話すことはひとつ残らず、本当に起きたことだと信じてほしい」
ダレン・シャンは、クモとサッカーが大好きな少年。ある日クラスメートが失敬してきたフリークショー(見世物屋)のチラシがきっかけで、ダレンと親友のスティーブは真夜中にこっそり家を抜け出すことにする。
フリークショーでは、ウルフマンやひげ女に太っちょ男が摩訶不思議な技を見せ、二人は夢中でショーに見入る。しかし曲芸グモを操るクレプスリーという男を見た瞬間、スティーブの様子がおかしくなる。
ショーの後、一人残ろうとするスティーブをいぶかしみ、同じくこっそり劇場にとどまったダレンは、親友のとんでもない秘密を知ることになる。そしてダレンもまた、大きな危険をおかして秘密を抱えることになってしまう…
#感想
(今回の感想は、海外児童書風にお送りします)
あれは、わたしがまだ学校に通ってたほんの子どもの頃のことよ。
わたしは本が好きだったから、よく学校の図書館に通ってたの。図書館にはあまり人が来なかったから、背の高い本棚に囲まれてるとわたしだけが知ってる秘密の場所にいるみたいでドキドキしたし、適当に引き抜いた本が当たりだと秘宝を見つけた冒険家気分にもなれた。
その本も、確かたまたま見つけたんだと思う。もしかしたら新書のコーナーにあったのかもしれないけど。
くすんだ色の表紙には、ロウソクや人気の無い階段の絵がかいてあった。それになんと言っても、あのキラキラ光るクモの刻印!正直に言うと不気味だったわ。
でもなぜか惹きつけられるの。きっと黒魔術の本ってこんな風ね。
さっそく借りて帰って読み始めたんだけど、すぐにハマってしまった!やっぱりあれは魔法書だったのよ。
出てくる男の子達は下品で乱暴だし、異形の人を見せ物にする"フリークショー"はなんだかヤなかんじ。でも読むのを止められないんだから。
『ダレン・シャン』はシリーズもので、わたしはその後も次々に読み漁った。でも、だんだん遠ざかって、ついには読むのをやめてしまったわ。物語は変わらず面白かった。でも、これまで児童書といえばハッピーエンド、傷ついても死ぬことやあまりにもひどい目に合うことはない、という価値観を持っていたわたしにはあまりにも刺激が強くて怖くなったの。
星新一や赤川次郎も読んでいたのに、今思えば不思議。でも、無意識に大人と子どもの世界を分けていて、子どもの世界は平和で安全だと思いこんでたのかもしれない。
『ダレン・シャン』は容赦なくその壁を壊してきた。現実には大人も子どもも無いんだって、不幸や不条理、どんなに願っても叶えられず助けも来ないことは、平等にやってくるんだと突きつけてきた。
すごい本よ。
最近ふいに思い出して、そしたらもうたまらなくなって、ついに借りてきてしまったわ。
もうわたしは大人になったけど、あの時わたしを捕らえた魔法は健在だった。面白いものには、大人も子どももないの。
今度はきっと見届けてみせる、あの時行けなかった所までね。
▼ダレン・シャン2作目のあらすじと感想はコチラ