#辻村深月
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#あらすじ
ある出来事から中学校へ行けなくなってしまった"こころ"。
ある日、自室の姿見が虹色に光り、かがみの向こうの城へと招待される。
城へと招かれたのは、こころを含め同年代の少年少女が全部で7人。
彼らの前に現れた、狼のお面を被った女の子、自称"オオカミさま"は、願いの鍵と部屋を見つけた者には何でも1つ願いが叶えられると言う。
ドンデン返しの女王、辻村深月が描く、不思議で優しいファンタジー。
#感想
何度も泣きそうになった。
ラストは読めていた。微かな違和感は、ミステリ好きのアンテナにビビッと受信されて脳内にある答えを映し出していたから。
でも、とても巧みな紡ぎ方にページを繰る手は止まらない。こんなお話を作り出すなんて、とても優しくて素敵な人だと思った。
子ども達は皆勝手だけど、特に主人公の"こころ"にはイライラさせられた。
言いたいことも思ってることも、何一つ言わない。態度に出さない。
分かってくれない、どうせ理解されないからと決めつけておいて、大人や世の中は理不尽だという顔をする。
言えば良いじゃないか!
言わなきゃ分かんないんだよ!
助けたいと思ってるかもしれないじゃない!
そこでハッとする。
私もだ。大人も子どもも関係ない。
傷つくことを怖がって、助けて欲しいのに自分からは手を伸ばさず、なのに分かってくれないと拗ねている。
まったく、理不尽なのはどっちなのかと呆れてしまう。
学校に行けなかったり、一人で欝々としている子が、つらいそのタイミングでこの本に出会えたら、きっと救われる。
そして大人も、素直になってみようと顔を上げられるお話だ。