#花散らしの雨
#髙田郁
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#あらすじ
付け火による焼失で、店を神田から元飯田町へ移した「つる家」は、少しづつ常連客を増やしつつあった。
新たに雇い入れた少女"ふき"もよく働いてくれる。つる家の商いは順調に見えた。
料理人である澪は、料理番付に載った「とろとろ茶碗蒸し」に代わる新しい料理を思案する。
しかし、熟考の上に生み出したはずの料理が、次々と神田の銘店「登龍楼」と被ってしまう。
更に、遊廓にいることの分かった澪の幼なじみ"野江"だが、大怪我を負って生死の境をさまよう事態に?!
またまた降りかかる困難に、澪はどう立ち向かうのか!
シリーズ2作目。
#感想
▼シリーズ1作目はこちら
澪ちゃんの人間としての器が大きすぎて、思わず手を合わせたくなりました(u人u)尊
軽く結んだ三つ葉をあしらった吸い物に、三つ葉のお浸し、三つ葉の白和え、三つ葉ご飯。そして注文を受けてから揚げる白魚と三つ葉のかき揚げ
澪ちゃんが閃いた"三つ葉づくし"の膳は、驕らずただ旬の美味しいものを食べてもらいたい、目でも旬を楽しんでもらいたいという澪ちゃんの心根の優しさ、そして料理人としての気概が感じられる素晴らしい献立だと思います。
だからこそ、それを姑息な手段で真似ることへの嫌悪感…!
髙田先生は、読者が一番澪達と一緒になって憤慨するやり方を心得ていらっしゃる。
そして切なくさせる方法も。
「あほやなぁ、あんまり大人を見くびるんやないで。そない小さいことにいちいち傷ついてたら、生きていけますかいな」
ご寮さん芳の言葉は、今何かに悩んでいて、でもそれを優しさから言い出せずにいる現代の子ども達(大人も)にも届いて欲しいな、と思いました。
そして、今回のタイトルにもなった「花散らしの雨」。
酒屋の店主が血の滲む想いで作った味醂を、なんとか売り出したいと願う奉公人留吉とのエピソード、これも外せない大切な回です。
味醂を味見して、思わずこれで料理をしたい!と調理場へ走る澪にはその時留吉への同情心は無く、ただ料理人としての姿がありました。
それが幼馴染野江との大切な話に発展していくんだから、やっぱり髙田先生は天才です。
天才なんだけど…その筆が秀逸過ぎて切なさが増すから二人の幸せな話も早く読みたいなぁ(´・ω・`)♡