#正義の申し子
#染井為人
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#あらすじ
19歳の佐藤純は、リアルでは気の弱い引きこもりだが、タイガーマスクをかぶりユーチューブにログインすれば、たちまち“正義の申し子ジョン”になれる。
今日も悪者退治として、悪徳業者を嘲笑う生配信を行う為、架空請求詐欺を働く“㈱コスパ総合調査”なる組織へ電話を入れた。
電話に出たのは“森口”と名乗る関西弁の男。簡単に煽られる森口をおちょくるジョンの配信は大反響を呼ぶ。
気を良くしたジョンは、何とかしてもう一度森口と対決出来ないかと目論む。
そして、自分をバカにした生配信を全国に流された森口こと鉄平もまた、憤懣やるかたない思いでジョンに会うことを切望していた。
#感想
ユーチューバーが子どものなりたい職業ランキング上位に上がって久しいですね。
知り合いもチャンネル持ってて、そこそこの登録者数があるそうです。見たことはないけど(ひどい)
もはや身近にいることも珍しくないんだなぁ。
YouTube自体は、私もメイク動画とかたまに見ます。動画でやってくれるの、とても分かり易くて良いです(❛◡❛✿)
使われてたコスメがプチプラとかだと、次の日には同じの買っちゃう←チョロい
それでもいまだに、なんとなく苦手意識も持っちゃうんですよね(´・ω・`)
それは、一部のユーチューバーの行き過ぎた行動や、目立つ為に他人の迷惑を顧みない姿勢に嫌悪感を持ってしまうからだと自己分析。
もちろん一部ということは理解しているけど、ユーチューバーに限ってそんな!とか、ユーチューバーには珍しくたまにそういう人いるよね、という反応をする人は決して多くないはず。
残念ながら、そういうのは“よくあること”なんですね。
主人公、純(ジョンとも言うけどひとまずは“純”で統一)もそういったタイプです。
正義の申し子を名乗っていますが、やっていることはどう見ても自分の承認欲求を満たす行為で、それもどんどんエスカレートしていきます。
そもそもこの純、リアルでは妹に暴力をふるうとか、母親を家事する道具扱いするとか、気に入らないとすぐ声を荒げるとか…
好意的に思える要素が一切無い!
なので、最初は読み進めるのがちょっと苦痛でした(´・ω・`)
どちらかというと、家庭環境に恵まれず、狭い世界を歩んできてしまった鉄平くんの方が気になる。
やっていることは褒められたことではないんだけど(犯罪だし)、彼も生い立ちや環境が違ったら、面倒見の良い爽やかな青年だったのではないでしょうか。そういう世界線もあったんじゃないかな、と思わずにはいられなかった。
お話としては純の成長物語なのだと思います。でも、私の中での主役は鉄平くん。
綺麗にまとまっているし、読後感は爽やかなので、スカッとするエンタメ小説を読みたい!って時にはピッタリですよっヽ(*'▽'*)ノ