#魔眼の匣の殺人
#今村昌弘
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#あらすじ
W県旧真雁(まがん)地区では、かつて班目(まだらめ)機関によって超能力研究が行われていたという。
神紅大学ミステリ愛好会の会長、葉村譲(はむらゆずる)と唯一の会員剣崎比留子(けんざきひるこ)はその真偽を確かめる為、W県の山奥までやってきた。
道中、偶然道を共にすることになった男女6人と共に『魔眼の匣(まがんのはこ)』と呼ばれる施設を訪れると、そこには予言者と恐れられる孤独な老女が住んでいた。
老女サキミは何年も前から、ここで男女2人づつ、計4人がこの2日で死ぬという予言を行っていた。
サキミの予言は外れたことがなく、予言を恐れた地区の住人によって、魔眼の匣は外と繋がる橋を落とされてしまう。
異様な雰囲気のクローズドサークルに閉じ込められた男女10人。そして第一の犠牲者が…
#感想
葉村譲と剣崎比留子のシリーズ、待望の第2作目です!
今回も、類を見ない条件下での殺人が起こります。
"2日間で男2人、女2人が死亡する。"
閉じ込められた男女は次第にお互いを見張るようになりますが、そもそも予言という不確か極まりないものが前提にあるんですよね。
我らが美貌のホームズ、剣崎比留子は生まれつき災いを呼び寄せるという特異体質を持っています。
そんなハンデを背負ってでも生き延びられるように、彼女は自力で優れた観察力と推理力を身に付けたという設定は、偶然探偵が殺人事件に巻き込まれ華麗に解決するというよりある意味リアリティがあるように思えます。
今村作品の魅力は、キャラクターの強力な個性と、手垢のついていない世界観、そして奇天烈な前提を読者に飲み込ませてしまうある種強引な説得力にあります!
非現実的な状況は受け入れがたくても生き延びる為に一旦受け入れて、ただただ起こった事実を追うことで推理を進めていく。
そのファンタジーさと妙に現実的なアンバラスさがクセになり、新しさを感じさせるのかも。
ラストの衝撃はエグいけど、そう落とすか…と感嘆。最後まで手を抜かないところが、とても好き。