#DIVE‼︎
#森絵都
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#あらすじ
普通の少年なら当たり前に享受出来るいくつもの楽しみに蓋をして、痛みや恐怖に耐え続ける。
全てはわずか1.4秒の美しさの為に!
赤字運営でいつも存続の危機に立たされているミズキダイビングクラブ。そこに在籍する、中学生の知季(ともき)。
クラブ唯一の高校生ダイバー、要一に憧れながらも、友人の陵やレイジと楽しく飛込みを続けられれば良いと思っていた。
そんな時、新任コーチとしてミズキ会長の孫娘がやって来た。
夏陽子(かよこ)のアメリカ仕込みのコーチングに疲弊し不満をこぼしながらも、力をつけていく生徒たち。
更に知季は特別に自主トレメニューを渡され、挙句の果てに目指す先はオリンピックだと言われて…?!
いくつもの試練に立ち向かい、挫折し、再び足を踏み出す少年たちの熱いストーリー!
#感想
これまでの人生でベスト10の本を選びなさいと言われたら、私はきっと『DIVE‼︎』を手に取ると思う。
それ位すばらしくワクワクし、胸が熱くなり、何度も鼻をすすり、熱に浮かされてきた本なのだ!
主役の少年3人、知季、要一、飛沫の苦難と成長とそれを見守る人達のストーリー。
何が素晴らしいって、序盤は飛び込みが中心のドラマで、誰がどんな風にハードルを越えるかっていうのを楽しませてくれるのね。
そこから一人一人をフォーカスしたストーリーになるんだけど、読者はその度にフォーカスされた人物を一番好きになるし一番応援したくなる。
そうなるともう大変!
この子もあの人も、こんな思いとあんな時間を重ねて来たのかと、どんなモブっぽくてもそれぞれが人生の主役で、人の数だけドラマがあるんだと思い知らされる。なんて使い古された…語彙力が足りない…!
一緒に手に汗握り、一緒に打ちのめされ、一緒に絶望し、そしてまた前を向く。情緒をつかさどる部分が疲弊して寝れない!
そうこうしてる間に、物語はどんどん深みを増して、語られる人の数だけ輝きを増していく。
普通はこんなに沢山の人物を登場させたりフォーカスすると、ごちゃごちゃしてきて途中でダレそうなもんだけど、鬼才森絵都!
息つく暇も与えず、最後まで走り抜け見事な着地点へノースプラッシュでフィニッシュ!!
観客は呆気に取られ、一瞬遅れで割れんばかりの大歓声が響き渡るでしょう。
ただの青春ドラマでは決して味わえない深みと興奮。
あぁ、この感情を是非味わっていただきたい。