にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『十字架のカルテ』-現役医師の書く医療ミステリー

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#十字架のカルテ

#知念実希人

#あらすじ

精神鑑定医を目指す新米医師の弓削凛(ゆげりん)は、勤務する病院の院長であり、精神鑑定の第一人者である影山司に教えを乞うていた。影山の鑑定には妥協がなく、検察からも一目置かれている。


正解を見つけることが最も難しい、人の内面。それを推し測った上での鑑定結果で、罪を犯した人間への処置はガラリと変わる。重大犯罪を犯した者も、心神喪失と鑑定されれば不起訴になる。


白昼の新宿で無差別に人を襲い血まみれで自己紹介をする若い男、我が子と心中を図り一人生き残った産後うつの母親など。影山は、彼らの心に巣食う闇をじっくりと覗き込み、鑑定結果を告げる。

影山の元で学ぶ凛は、やがて自らが精神鑑定医を志すきっかけとなった事件と向き合うことになる。


現役医師、知念実奇人の描く巧妙な医療ミステリー


#感想

周知の事実ですが、作者の知念先生は現役のお医者さん。

現役医師というお立場なので、病院を舞台にされた作品が多いです。


勉強不足の為、何科を専門にされているのか存じ上げないのですが、今回は“精神鑑定”というテーマを取り上げられているのは、「あらすじ」の通り。

病院勤務といえども病院関係全てに精通されてる訳ではないでしょうに、今回は刑法第39条も大きなキーになっているので多分すごく調べられたんだろうなぁ。

頭の良い人は知識欲も旺盛なのかしら。

 

今回は短編が集まって大きなストーリーが出来上がっている作風なのだけど、個人的にこういうの大好物です!

あの、徐々に見えないところが見えてくる感じ。見えてた世界が更にひらけて広がっていく感じ。

わくわくドキドキしませんか(キュン)

 

最初は“精神鑑定”っていう永遠に答えの出ないテーマに、これは重いぞ!と覚悟して臨んだのね。

でも、真面目で良い子なのについつい心の声が漏れがちな凛や、切れ者だけどちょっと皮肉屋なホームズ的役割の影山先生が良いキャラしてて、胃もたれを起こさせない仕様になってます。

更に今回のオススメポイントは、最初見えてた側面がガラリと変わる楽しみを短編作分味わえるというところ!

つまりご馳走×5!ありがとうございます!

 

もちろんテーマがテーマなので、切なく沈む話も多いんだけど、ちゃんと希望や温かさを残してくれる。それが知念先生の良さだと思うのです。

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