にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『甘美なる誘拐』-甘美なるミステリで酔わせて

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#甘美なる誘拐

#平居紀一

#あらすじ

真二と悠人はヤクザ予備軍のチンピラ。上司にあたる麦山組の荒木田にこき使われ、毎月のノルマに段々首が回らなくなってきた。

ついには麦山組がケツ持ちをする、稲村という金貸しの世話にまでなる。その日もまた稲村の元を訪れた二人だが、そこで目にしたものは、死体と開きっぱなしの金庫で…


植草部品は、父娘の他は社員が一人にバイトだけの小さな会社だが、得意先も付いていて、贅沢しなければ十分に暮らせていけた。

ところが地上げ屋から嫌がらせを受けるようになり、バイトは辞め、商売にも差し障りが出始めた。親子は、若い頃暴走族のアタマとしてならし、今は自動車修理を生業とする菅谷に相談することに…


点と点はどんどん大きくなり、予想を超えた結末へ転がり出す!

このミステリーがすごい、グランプリ受賞作品。


#感想

タイトルには誘拐とあるものの、なかなか誘拐事件に辿り着かない。

様々な事件が、各々の場面で起こるからだ。


ヤクザもどきのチンピラ2人は殺人現場に遭遇し、そこへやって来た訪問者をうっかり殴り倒して逃げちゃうし、部品屋の父娘は地上げ屋から嫌がらせを受け、あわや倒産という事態まで追い込まれるし。

うーん、誘拐とは関係ないけど、どれも気になる!


そうして、テンポ良く進むのと、真二と悠人の楽しいやり取りで飽きはしないのだけど、そろそろ誘拐はいつ?と思っているところで誘拐勃発!

しかしその頃には、宝くじ騒動やら暴力団との抗争やらと益々事件が事件を呼び、もはや物語は雪だるま状態である。


これは回収不可能かと思われたそれぞれの事件が、するするる…

まるでほどける音が聞こえるように一気に終結へ向かう様は、気持ち良いの一言!

何これ、楽しい!


ついにはピンと張り、お前一本だったんかい!とか言いながら手繰り寄せた紐の先には、別の意味で気持ちの良いラストが待っている


こんな時代だからこそ、気持ちが軽くなる爽やかなラストまで是非。

それにしても"このミス"は、スベらんな〜

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