#折れた竜骨
#米澤穂信
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#あらすじ
ヨーロッパに浮かぶ島、ソロンとその領主家族が暮らす為の小さな島、小ソロン。
領主の娘、アミーナは賑わう港や平和な町を愛していた。
しかしある日、父である偉大な領主から重大な秘密として、ソロン島が"呪われたデーン人"に狙われていることを明かされる。しかも領主は、ソロンを守る為に傭兵を集めるが何者かに殺されてしまう。
犯人を探して島は詮索されるものの、殺人者は忽然とその姿を消していた。
異国からやってきた騎士ファルクとその従士ニコラは、自分たちの追う仇敵が領主殺しの犯人だと示唆する。彼らの敵は、暗殺騎士と呼ばれ、不思議な魔術を使うのだという。
アミーナは、ファルク達に命じ、共に暗殺騎士の痕跡を追うことにした…
果たしてアミーナは父親を殺した犯人を見つけられるのか、そしてソロンを狙う呪われた民族の正体とは?!
#感想
途中、とても困惑しました。
どうみてもファンタジーなの。
どうみても壮大なファンタジーなんだけど、シリーズの途中から読んでしまったような唐突感。
メインはソロンで起こった殺人事件なんだろうけど、それが小事に見えてしまうほど、主要キャラ達のこれまで歩んできた歴史の方が濃厚。なのにほぼスルーとな!
あらすじで書いた通り、ファルクとニコラは因縁の仇敵、暗殺騎士を追ってソロンにやって来ました。
暗殺騎士が生まれた背景や、ファルク達とどんな因縁があったのかは一応語られます。けど、暗殺騎士を追ってやっとソロンに辿り着いた、それまでの道のりについてはあっさり省略されてしまうのよね。
そんな…絶対面白いのに…
他にも、主人公アミーナはもちろん、小ソロンに幽閉されてる彼なんて、生い立ちから幽閉されるに至るまでの経緯は、セリフから読み取れと言わんばかりのアッサリさ!
ただ、読み進めると理解します。
これは紛れもないミステリ小説、限られた人物の中から殺人者を探しだす話なのだと。
そこに余計な要素はいらず、バッサバッサとカットされてスマートになった本編は、作者の見せたい物語をより印象づけています。
更に読者をアッと言わせる仕掛けが施されているのは驚嘆もの!
思わず唸って膝を打つはず(古い?)。
ミステリ好きにもファンタジー好きにもオススメの一冊でした。