#綾辻行人
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#あらすじ
大学のミステリ研究会の面々は、有名な殺人事件のあった島を訪れる。ちょっとした好奇心での滞在のはずが、一人また一人と殺されていき、彼らは疑心暗鬼に囚われていく…
#感想
アガサ・クリスティのオマージュという本作品。
ははぁ、なるほど。新本格ミステリの先駆けと言われるのはしごくもっとも!新本格と言われながらも、先人達へのリスペクトと愛をたっぷり感じます。
いわゆる"島もの"とか"雪山もの"が成り立つ状況って、現代ではなかなか難しいですね。だからこそ当時の、自然に発生したある種の密室内での事件、そしてその解明にはロマンと心躍るものがあります。個人的には尊さすら感じます。
(以降はちょっとネタバレ
未読で今後読むかもな人は引き返してね)
オマージュ作品という以外、前情報無く読んだので"島田潔"の名前が出てきた時には興奮しました。いいね!ミステリは先人達あってこそ磨かれていくものだと思うので、先人へのリスペクトは共感と好感が持てます。
何やら偉そうですが、ミステリ読者には多かれ少なかれそのような傾向があるのではと思うのであります(偏見)。
さて、厳密には密室では無いわけですが、そのように見せかけるのも作者の腕です。個人的には、動機や"捕まらない動機"にいささか釈然としないものを感じるのですが、実際に殺人を犯すまで追い込まれた心理というのはそういった歪みを内蔵している方がリアルかもしれません。
手放しでベタ褒めとはいかない口調ですが、登場人物はキャラが立っていて魅力的で、もちろん十分に面白い作品でした。