にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『ダレン・シャンⅣ』-ダレン、大きな一歩を踏み出す

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#ダレン・シャン

#バンパイア・マウンテン

(#ダレンシャンⅣ)

#DarrenShan

#ダレンシャン

#あらすじ

バンパイア総会で、半バンパイアにしたダレンを仲間へ引き合わせる為、クレプスリーはバンパイア・マウンテンに行くことを宣言した。


旅へ出る直前、クレプスリーとダレンはミスター・タイニーから、彼の手下であるリトル・ピープルを連れて行くよう強要される。

初めは反対したクレプスリーも、やがてミスター・タイニーには逆えず、渋々承諾する。


こうしてバンパイア・マウンテンを目指すことになった一行。

古いしきたりを何よりも重視するバンパイアのおきてによって、バンパイア・マウンテンへの道のりは辛く厳しいものとなる。


たどり着いたバンパイア総会では何が起こるのか!?

新たな仲間も続々登場する第4巻!


#感想

物語の動き出しを感じる4巻。

色々あり過ぎて、あらすじが簡単になってしまうー笑

本当は道中で出会う狼達との触れ合いや、敵対するバンパニーズの影、バンパイア・マウンテンに集う個性豊かなバンパイア将軍達と内容てんこ盛りなんだけど…

(以降はちょっとネタバレ

 未読で今後読むかもな人は引き返してね)

 

 

 

ダレンと心が通じて来たように思えたクレプスリーも、やっぱりバンパイアか…と少し落胆してしまった。

手下であり弟子でもあるダレンが、誇りを傷つれられまいと試練に挑む勇気を見せたことを、誇らしく思うのは至って分かる心情だ。でも、それが命をかける程の試練であれば話は別!

いくら誇りを重んじるのがバンパイアの性分とは言え、ダレンを本気の危険にさらしてまで臨ませることかしら。


とは言え、なんとなく今回のクレプスリーはいつものクレプスリーらしからぬ所があった点は気になります。

例えば、ダレンを半バンパイアにした正当性(?)を総会で主張せず、処分もいとわないと敬虔な態度を取った場面とか。

思えば、そこからダレンが試練を受ける方向へ、話が転がっていったようです。

これはもしかすると、何か考えてのことかな?!ていうか、そうであれ!


と、一度読んだにも関わらずここら辺は結構忘れてるので、夢中で楽しめた4巻でした。


ダレン・シャン1作目についてはコチラ

『ダレン・シャン』-ハリーポッターが陽なら、これは陰のファンタジー作品! - にゃんこくらげの読書日記

 


▼2作目はコッチね

『ダレン・シャンⅡ』-血塗られた苦難への扉が開く… - にゃんこくらげの読書日記

 


▼ここまで来たら3作目も読んどこ!

『ダレン・シャンⅢ』-絆が深まる第3巻! - にゃんこくらげの読書日記

 

 

『小太郎の左腕』-時代に似合わぬ優しさは何をもたらすか

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#小太郎の左腕

#和田竜

#あらすじ

戦国の世、勢力争いが苛烈になっていた戸沢家と児玉家。


他国に名を轟かす程の剛の者、戸沢家の林半右衛門は戦で深手を負い山に落ち延びた。そこで半右衛門と家臣の三十郎は、不思議な少年小太郎と身内らしき老人要蔵に出会う。

半右衛門は命を救った小太郎と要蔵に礼をすると申し出るが、要蔵は自分達のことは忘れろとすげない。

しかし、小太郎が願い通り鉄砲試合に出場したことで、運命は大きく動き始める。


#感想

タイトルは『小太郎の左腕』だけど、主人公はほぼ林半右衛門でした。

感覚的には『黄金の種子島』、とか『秘された銃』って感じで付けたタイトルなんじゃないかと思います。

何のことか分かりにくいですよね。


つまり、"小太郎の左腕"はそれ自体が人の運命を狂わせる程の名器であり凶器で、本作は小太郎についてというより、"小太郎の左腕"によって運命を狂わされた人々を書いてる、そういう作品だと示したタイトルなんじゃないかな、と思うんです。


ツラツラ言いましたが、内容については、面白く読みました。

結構戦闘場面が多くて、また小太郎以外の登場人物が当時の時代柄なのか血の気の多い奴らばっかりで(笑)、芝居に見入るのと似た感覚で読み進めました。

無骨な書き方がまた雰囲気に合っています。


後半では少し山田風太郎のような色合いも出て来ました。

ちょっと戸惑うけど、私は嫌いじゃありません。

和田さん、以前に忍者モノ書いてたしね。


そしてラスト、小太郎含め、その左腕に運命を狂わされた男達の物語が収束します。

良くも悪くも、人の本質は簡単に変わらず、また無理に変えては生きにくい。

血気たぎる派手な芝居のような作品だっただけに、ラストは少し寂しい気もしました。でもその寂しさが、祭りの後って感じで味なのかも。

淡々と書きましたが、ウルウル来ました。

 

追伸

久しぶりに感想up出来た。

またちょいちょい書き出したいな

『戦場のコックたち』-殺す者も生かす者も人であるということ

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#戦場のコックたち

#深緑野分

#あらすじ

第二次世界大戦下、アメリカ生まれの青年ティムことティモシーは冒険へ出るような気持ちで志願し軍に入る。

体格に恵まれていたティムは、さぞ良い兵士になれるだろうと訓練に励むが、現実は彼の想像と異なり、モヤモヤした日々を過ごすことになる。


そんな時、ティムは優秀なコックのエドワードに、食いしん坊であることを買われ、コックにならないかと誘われる。

こうして歩兵でありコックとなったティムは、仲間達と共に戦場へ赴き、ある時は銃を、ある時は鍋を振るう。


日々激しさを増す戦争の中、笑い、泣き、悩み、憤り、不安を抱えながら歩を進める兵士達のリアルを描き切った長編傑作。


#感想

戦争物であり、日常(戦場の日々を日常というのも変だけど)で起こる謎を解くミステリでもある本作。528ページと大作である。

それもそのはず、作中では、アメリカが第二次世界大戦に参戦した1942年から終戦までの約3年間の月日が流れるのだ。


主人公のティムは、優しく健全でちょっと子どもっぽいところのある普通の青年だ。

それがこの3年間、戦場でコックをしながらどう変わっていくのか、はたまた変わらないでいられるのかも見所である。


ちなみに私が"戦場のコック"に持つイメージは、主に裏方で常に兵士達の食事を作っている食堂のオジサン的ポジションだった。

ところがそれは全くの間違いで、コック達はコックである前に一兵士。

基本は戦うことが仕事で、料理に関することはプラスαのようなものだった。

更に、まともに調理出来る環境にないことも多い為、そんな時は配給品(レーション)を配るのみ。

作中では、主人公によって"給食係"と例えられているがなるほど、分かりやすい。


本作は面白いのだが、時々彼らが普通にコーラを飲んだり冗談を言い合うシーンにムズムズと落ち着かない気持ちになることがあった。

それは戦場の異常さと、普通でいられる様のギャップに複雑な感情を持ったからだ。ただ、多分ティム達も平気な訳ではないのだろう。慣れもあるかもしれないが、常に考え続けたら心を保っていられなくなるから、普通の男でいようとするのではないか。

後半では、そんな表層も剥がれていくのだが…


つくづく戦争なんて、生き物にとって不自然極まりない行為だと思った。

食料やメスを確保する為の縄張り争いなどではなく、愛国心だろうが結局は人から指示されて心が壊れていくほど殺し合う。やがてやめたいのにやめられず、病んでしまうからやめようとするなら味方から殺される事態にさえ陥る。異常である。


辛い気持ちになり涙する場面も度々あったが、読後は安らいだ気持ちになれた。

 

『水域』-椎名誠の静かなSF作品

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#水域

#椎名誠

#あらすじ

水に覆われた世界を一人、小型船で旅する青年ハル。危険な生物をかわし、食料を探し、ひたすら流れていく。

水域で出会う人々と、多少の交流を持ったり時には騙されたり…。そして愛する人に出会う。

出会いと別れを取り返しながら、孤独な旅を続けていく不思議なファンタジー


#感想

ちょいちょいトラブルにはみまわれるけど、大事件!というほどのことは起こらず、ある意味旅行記のような小説。

多分舞台は未来の地球で、大雨によって世界は浸水してしまったんだろうということが匂わされている。

架空の生き物や造語が多出するのが特徴的。だけどそれに対する説明はなくて、この世界では我々の不思議を当たり前と受け入れて進めざるを得ない。


ファンタジーだけどじっくり一人の男の生涯というか、生き様の一部を切り取って眺めるかんじ。


私にはちょっと物足りなかったかな。村上春樹とか好きな人には合うんじゃないかしら。

『ダレン・シャンⅢ』-絆が深まる第3巻!

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#ダレン・シャン

#バンパイア・クリスマス

(#ダレンシャンⅢ)

#DarrenShan

#あらすじ

ダレン・シャン1作目についてはコチラ(* 'ω')ノ

サーカス団シルク・ド・フリークでの生活にすっかり慣れたダレンとクレプスリーの元に、ある日お客が訪れる。クレプスリーの古い友人で現バンパイア将軍の一人、ガブナー・パールだ。

ひとしきり懐かしの対面を果たしたクレプスリーだが、ガブナーが去った後、急にサーカス団から旅立つと言い出す。

はじめは嫌がるダレンだが、友だちで蛇少年のエブラが同行することを条件に、クレプスリーと都会へ出発することになる。


ダレンとエブラは都会での生活を楽しむが、やがてクレプスリーの様子が変なことに気づく。そして同時期、町で忌まわしい事件が起こっていることを知る。

まさかクレプスリーが関係しているのか?2人は真相を突き止めるべく、クレプスリーを追跡する。


ダレンの淡いラブストーリーも堪能出来る、第3巻!


#感想

ダレン・シャン、大活躍の巻!

クレプスリーの過去がほんのり覗け、ダレンとエブラの友情は深まり、ダレンに初めてのガールフレンドが出来ると大忙しだ。


今までは嵐のように目まぐるしい運命に翻弄されるままのダレンだったが、今回は持ち前の友達想いの優しさと勇気、賢さがいかんなく発揮される。

また、人並外れた力を持つダレンが普通の男の子として、人間の女の子デビーに振り回されるシーンはとっても可愛くて好き笑


そしてもう一人、今回その魅力を見せつけた人物がいるんだけど…

クレプスリーだと思うでしょ?

エブラです‼︎


エブラこそ友人想いで、ユーモアがあって気の利く男の子だと分かるよ!

ダレンみたいにバンパイアの力がなくても、ダレンが早まった行動を取らないように必死で食らいついていくし、いつもは人の目なんか気にしないけど、ダレンがガールフレンドのデビーを家に招く際には異形の自分は隠れておいた方が良いなんて気にするの。

ちなみにそんなエブラの提案をダレンがはねつけるシーンあるんだけど、個人的にその辺りがニヤニヤしちゃう程、可愛い!


是非とも1巻から読んでみて欲しいけど、そこだけ知りたいという方の為に、下部に少し引用しておきます♡

それでは、また次の読了記事でーノシ

 

 

 

 

P.81

「あのさあ、エブラはぼくのいちばんの親友だよね?」

ぼくはエブラをさえぎって、きっぱりと言いきった。

うん、とエブラが遠慮がちに笑う。

「それはそうだけど、でも…」

「やめて!でもは、なしだよ。ぼく、デビーのことは大好きだけど、エブラのことを気持ち悪いなんて言ったら、そのときはさよならだ」

「ありがとよ、ダレン」

エブラが、つぶやいた。

『合理的にあり得ない』-新たな痛快ヒロインの誕生!

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#合理的にあり得ない

#上水流涼子の解明

#柚月裕子

#あらすじ

詐欺に騙されている身内を秘密裏に助けてほしいなど、表立って頼めない悩みを解決する上水流(かみづる)エージェンシー。

代表は頭脳明晰で美貌の持ち主、上水流涼子。助手を務めるのはIQ140の天才、貴山伸彦。

料金は高いが仕事はきっちりこなす。

こんなに優秀な人材がなぜこんな仕事を…?


霊能力者を語る詐欺師や、野球賭博にはめて骨までしゃぶるゲス野郎を、頭脳戦でバッタバッタとなぎ倒す!

オススメ!痛快エンタメ小説!


#感想

短編が連なって、1つの話になるというタイプの小説。


柚月さんというと、ゴリゴリの任侠ハードボイルド『孤狼の血』のイメージだったので、気合を入れて読み始めましたが、上水流涼子が主人公の本作は全くテイストが違いました。

読み易い上に水戸黄門的な安心感があります。軽やかだけどストーリーは練り込まれていて、もう1章あと1章読んだら寝よう、とすっかり寝不足です笑


この一冊だけなんてあり得ない!

是非シリーズ化していただきたいものです。

お願いします。

 

『かがみの孤城』-どんでん返しの女王が描くファンタジー小説

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#かがみの孤城

#辻村深月

#あらすじ

ある出来事から中学校へ行けなくなってしまった"こころ"。

ある日、自室の姿見が虹色に光り、かがみの向こうの城へと招待される。

城へと招かれたのは、こころを含め同年代の少年少女が全部で7人。

彼らの前に現れた、狼のお面を被った女の子、自称"オオカミさま"は、願いの鍵と部屋を見つけた者には何でも1つ願いが叶えられると言う。


ドンデン返しの女王、辻村深月が描く、不思議で優しいファンタジー


#感想

何度も泣きそうになった。

ラストは読めていた。微かな違和感は、ミステリ好きのアンテナにビビッと受信されて脳内にある答えを映し出していたから。

でも、とても巧みな紡ぎ方にページを繰る手は止まらない。こんなお話を作り出すなんて、とても優しくて素敵な人だと思った。


子ども達は皆勝手だけど、特に主人公の"こころ"にはイライラさせられた。

言いたいことも思ってることも、何一つ言わない。態度に出さない。

分かってくれない、どうせ理解されないからと決めつけておいて、大人や世の中は理不尽だという顔をする。


言えば良いじゃないか!

言わなきゃ分かんないんだよ!

助けたいと思ってるかもしれないじゃない!


そこでハッとする。

私もだ。大人も子どもも関係ない。

傷つくことを怖がって、助けて欲しいのに自分からは手を伸ばさず、なのに分かってくれないと拗ねている。

まったく、理不尽なのはどっちなのかと呆れてしまう。


学校に行けなかったり、一人で欝々としている子が、つらいそのタイミングでこの本に出会えたら、きっと救われる。

そして大人も、素直になってみようと顔を上げられるお話だ。

 

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かがみの孤城 (一般書 113) [ 辻村 深月 ]
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