にゃんこくらげの読書日記

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本好きの会社員が、好きなように本の感想を書くだけのブログです!

『異邦の騎士』-騎士は急ぐ、大切な人を守る為に

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#異邦の騎士

#島田荘司

#あらすじ

目が覚めた時、俺は仕事も住んでいる場所も自分の名前ですらもすっかり思い出せないでいた!


記憶を喪失し絶望の中にいる男を救ってくれたのは、愛らしくて無邪気な一人の女性だった。しかし、平穏な幸せを手に入れる為に男が記憶の片鱗と向き合った時、驚愕の過去が明かされ、男は更なる絶望へ追いやられる…

果たして記憶は戻るのか、そして新たな幸せを守ることは出来るのか?!


#感想

御手洗潔シリーズ第4作目。

御手洗潔の作品はまだまだ続くけど、少なくともここまでは読んで欲しいし、一つの区切りのように思います。

シリーズとしては時系列が前後するんだけど、この『異邦の騎士』まで読んで初めて、御手洗潔シリーズを読んだ、という気持ちになりました。


御手洗潔シリーズ1作目はコチラ(o’ω’o)ノ

(以降はちょっとネタバレ

 未読で今後読むかもな人は引き返してね)

 

 


紛れもないミステリなんですが、ミステリというより人間ドラマを見ているような。ミステリにそういった要素は不可欠なんですけどね。今回は特に特殊。島田先生も仰られていますが、1作目に発表する話ではない、それが正解に思われます。


御手洗潔シリーズは『占星術殺人事件』のようなセンセーショナルな作品が始めに来て、それからいくつもあった上でのこの作品だからより面白く読める、というのは確かにありました。

特に前作が短編集だっただけど、完全にやられました。チラチラと関連づけされるエピソード、シリーズものの醍醐味ですね。

「懐かしいだろ?」と言ってジャズの演奏後に握手してたエピソードが気持ち良く思い出されました。

 

奇人変人の御手洗さんですが、気に入った人は本当に大事にする、素敵。"彼"には、是非とも幸せになってもらいたいですね。

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『ダレン・シャンⅡ』-血塗られた苦難への扉が開く…

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#ダレン・シャン

#若きバンパイア

(#ダレンシャンⅡ)

#DarrenShan

#あらすじ

ダレン・シャン1作目についてはコチラ(* 'ω')ノ

『ダレン・シャン』-ハリーポッターが陽なら、これは陰のファンタジー作品! - にゃんこくらげの読書日記

 

クレプスリーによって半バンパイアになってしまったダレンだが、人間であることにこだわり、ガンとして人の血を飲もうとはしなかった。

もう一つダレンを苦しめたのは、友だちが出来ないこと。見かねたクレプスリーは、ダレンにサーカス団"シルク・ド・フリーク"へ入ることを提案する。ダレンはここで、蛇少年のエブラと人間の男の子であるサムという友だちを得ることになる。

こうして充実した日々を送るダレンだが、人間の血を飲まないことで体力はみるみる落ちていき、やがては死すらも意識するように…


半バンパイアである少年の苦悩と、過酷な運命の第2巻!


#感想

子どもの頃に読んだ時には気付けなかった、クレプスリーの優しさ。小説の中に限ったことでは無く、大人が良かれと思って子どもを導こうとすることは当たり前にある。実際成長してから、その道が"正解"であることに気づくことも少なくない。


でも、子どもも意固地になっているから反抗するのではなくて、理由があって大人からの導きに頷けない時があるんだよね。それも、自分でも理由がよく分からなかったり、口では上手く説明出来なかったりするから、余計に分かってもらえなくてイライラして、衝突して悲しい目に合う。

それに、いつも理由がある訳じゃなくて、ただの大人への反発という場合も多々あるから見分けがつかなくて余計に厄介!


ダレン・シャンを読んでいるとそういうシーンをよく目にする。「あぁっ、そこは大人の言うことを聞いてれば…(´;ω;`)」とヤキモキするし、人によってはイライラすると思う。でもそれが幼少期というものだし、ていうことはダレンはとてもリアルな少年の姿だということになる。

とても衝撃的な回で辛い思いをするけど、ダレンはまだ小さい。運命を乗り越えて幸せになる力をつけられることを願うばかり。

 

『連続殺人鬼カエル男ふたたび』-あのパニックミステリに衝撃の続編!

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#連続殺人鬼カエル男ふたたび

#中山七里

#あらすじ

『連続殺人鬼カエル男』の続編です。

▼前作未読の方には、続編のあらすじもネタバレになるので、こちらからお先にどうぞ(o’∀’o)▼

 

カエル男による恐慌の日々を乗り越えた古手川は、あまりにも大きなものを喪失してしまった。

あれから1年弱。

カエル男事件の渦中の人物、精神科医御前崎教授の自宅が爆発、現場は見るも無残な状態と聞きつけた古手川刑事と上司の渡瀬は、過去のカエル男事件の情報提供という名目で現場へ向かう。

そこで2人は目にすることになる。

「きょうばくちくをかってきたよ。」

あのおぞましい事件が再び幕を開けるのを・・・

 

#感想

衝撃の前作から、まさかの続編登場!

カエル男の正体、その犯行理由から続編なんてありえないと思っていました。書店で見かけた時には目の錯覚かと。


それほど前作が完璧だったんです!

もしかしてスピンオフ?それとも模倣犯

あまりにも前作の完成度が高いと、続編ってちょっと残念な場合もありますよね。

ふむむ、そこんとこどうなん?と古手川並に疑いながら読み始め・・・瞠目!


エッ・・・そこから始まるの?!

犯人が分かっている所からの展開は不思議な感じもしましたが、最後まで読んで納得。

さすが中山七里・・・

今回も、精神疾患者の犯罪という難解なテーマを扱い、事件の謎と共に“お前の考えはどうなんだ”と読者に迫ってきます。

 

なぜ完璧とも思える前作から、続編を書いたのか。

私は、人気があったから、とは思えません。。。

この国の制度がこうある限り、憎しみの連鎖は簡単に断ち切れないのだ、と言われている気がしました。

『噂』-最後まで読んで、思わずひっくり返った!

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#噂

#荻原浩

#あらすじ

女子高生達の間に広がった怪談じみた都市伝説「レインマン」。

実際に都市伝説を模した殺人が起こったことで、所轄の刑事小暮と捜査一課の名島はコンビを組んで噂の出どころを探る。

始めは単なる遊びと思われた噂だが、実は商業目的で意図的に拡散されたものだと分かる。

口コミを操作してヒット商品を生み出した代償と、その裏に隠された衝撃の事実とは?!

 

#感想

戦慄し、読み終わった後はしばらく放心。

 

たっぷりページ量がありながら、ストーリーはテンポ良く、グイグイ引き込まれて気が付いたら読み切っていました。

とても面白い!

カリスマの描き方、その仮面がはがれる様、荻原さんはとても上手く“人”というものを表現されます。


全体的にほんのりホラー色が漂う中、おじさん刑事の小暮が高校生の娘にヒントをもらいながら、ぎこちなく若者とコミュニケーションを取るシーンはほっこりしてとても好きでした。

緩急がしっかりついていて、飽きずに夢中で最後まで読み切れます。

だからこそ、このまま終結と思われた最後に隠された罠には、まんまとでした。油断禁物(ネタバレになるといけないので語れないのがもどかしい!)。

 

あー、ゾッとした。無知って怖い。

でも面白いのでオススメです。

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『告白』-罪が告白された時、見えた真相に驚愕

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#告白

#湊かなえ

#あらすじ

市立S中学校1年B組の担任、森口悠子は生徒達に告白する。自身がまもなく教師を辞めること、数ヶ月前に亡くなった愛娘の愛美はここの生徒に殺されたと分かったこと、犯人の少年A・Bにはすでに復讐を遂行したことを。

そうして森口が去り、2年生に進級した生徒達と周囲の大人から、少年A・Bや事件のその後が語られる。

なぜ事件は起きたのか、奪うことの末路とは…


#感想

センセーショナルでインパクトの強い作品でした。

事件の原因となった人々の身勝手さ、罪を弾劾する人間のもはや残酷とも言える様が、とにかく徹底的に描かれています。

そして語り手が変わることで、人への印象が変わる様子はとても巧みです。


それに加えて教師が生徒に復讐を行うという設定を使ったのが、個人的に秀逸。

友人でも上司部下でもご近所さんでもママ友でもなく、教師から生徒。特に第一話の主人公である森口悠子は、普段から生徒を馬鹿にもしなければ過大評価もしない教師でした。子どもの幼稚性を承知し、本来なら彼らが間違いを犯した際には叱り導く立場の人間が、最も心をえぐる手法を選んで敢行した復讐。微に入り細をうがって復讐する様子を描いてはいませんが、真っ黒な心模様が滲み出ておりそれが読み手まで侵食するような作品でした。

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『ダレン・シャン』-ハリーポッターが陽なら、これは陰のファンタジー作品!

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#ダレン・シャン

#奇怪なサーカス

(#ダレンシャン)

#DarrenShan

#あらすじ

「これから話すことはひとつ残らず、本当に起きたことだと信じてほしい」


ダレン・シャンは、クモとサッカーが大好きな少年。ある日クラスメートが失敬してきたフリークショー(見世物屋)のチラシがきっかけで、ダレンと親友のスティーブは真夜中にこっそり家を抜け出すことにする。

フリークショーでは、ウルフマンやひげ女に太っちょ男が摩訶不思議な技を見せ、二人は夢中でショーに見入る。しかし曲芸グモを操るクレプスリーという男を見た瞬間、スティーブの様子がおかしくなる。


ショーの後、一人残ろうとするスティーブをいぶかしみ、同じくこっそり劇場にとどまったダレンは、親友のとんでもない秘密を知ることになる。そしてダレンもまた、大きな危険をおかして秘密を抱えることになってしまう…


#感想

(今回の感想は、海外児童書風にお送りします)


あれは、わたしがまだ学校に通ってたほんの子どもの頃のことよ。

わたしは本が好きだったから、よく学校の図書館に通ってたの。図書館にはあまり人が来なかったから、背の高い本棚に囲まれてるとわたしだけが知ってる秘密の場所にいるみたいでドキドキしたし、適当に引き抜いた本が当たりだと秘宝を見つけた冒険家気分にもなれた。

その本も、確かたまたま見つけたんだと思う。もしかしたら新書のコーナーにあったのかもしれないけど。


くすんだ色の表紙には、ロウソクや人気の無い階段の絵がかいてあった。それになんと言っても、あのキラキラ光るクモの刻印!正直に言うと不気味だったわ。

でもなぜか惹きつけられるの。きっと黒魔術の本ってこんな風ね。

さっそく借りて帰って読み始めたんだけど、すぐにハマってしまった!やっぱりあれは魔法書だったのよ。

出てくる男の子達は下品で乱暴だし、異形の人を見せ物にする"フリークショー"はなんだかヤなかんじ。でも読むのを止められないんだから。


ダレン・シャン』はシリーズもので、わたしはその後も次々に読み漁った。でも、だんだん遠ざかって、ついには読むのをやめてしまったわ。物語は変わらず面白かった。でも、これまで児童書といえばハッピーエンド、傷ついても死ぬことやあまりにもひどい目に合うことはない、という価値観を持っていたわたしにはあまりにも刺激が強くて怖くなったの。


星新一赤川次郎も読んでいたのに、今思えば不思議。でも、無意識に大人と子どもの世界を分けていて、子どもの世界は平和で安全だと思いこんでたのかもしれない。

ダレン・シャン』は容赦なくその壁を壊してきた。現実には大人も子どもも無いんだって、不幸や不条理、どんなに願っても叶えられず助けも来ないことは、平等にやってくるんだと突きつけてきた。

すごい本よ。


最近ふいに思い出して、そしたらもうたまらなくなって、ついに借りてきてしまったわ。

もうわたしは大人になったけど、あの時わたしを捕らえた魔法は健在だった。面白いものには、大人も子どももないの。

今度はきっと見届けてみせる、あの時行けなかった所までね。

 

ダレン・シャン2作目のあらすじと感想はコチラ

『御手洗潔の挨拶』-御手洗潔シリーズ第3弾は短編集

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#御手洗潔の挨拶

#島田荘司

#あらすじ

占星術師で自称探偵の御手洗潔が、出会った謎を華麗に解決する短編集。

第一話「数字錠」では、以前に知り合った刑事が町工場の社長殺人事件の謎解明に頼ってくる。社長は、シャッターと数字錠のついた扉で閉じられた密室内で殺されていた。犯人が分かった御手洗が取った行動には隠された意図があり…


#感想

奇人、御手洗潔のシリーズ3作目。御手洗潔とはどういう人間か、が詰まっており、御手洗ファンの私としては絶対読まずにはいられない一冊!(の割には若干登場シーン少なくないかい?)

読めば読むほど御手洗潔にハマっていくのは間違い無し。どうしてこんなにミステリアスなんでしょう(うっとり)。

しかし、トリックの方はかなり奇抜(いつももナカナカですけど)で、初見の方は面食らってしまうかも。やっぱり長編が好きかな、というのは私の好みです。

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